2014年4月2日水曜日

Radio Watching 2014/4/2

4月2日(水)

 3月25日の、山陽新聞、文化面に掲載されていた
岡山ゆかりの民俗学者、神崎宣武さんのエッセー。
今回は、あるイラン人の女性についてでした。
 日本に住んで21年。現在は永住権も取得し、
司法通訳士にも登録したその女性。
司法通訳士の資格を取るきっかけは、
あの震災だったそうです。
「娘が自立もしたし、あの災害の映像を見ながら、
少しでも他人様のお役に立てることがあればと
思い立ったのです」と。
 その娘さん、実の娘ではありません。
1989年、テヘラン大学院の学生だった女性は、
イラン・イラク戦争で破壊された町へ、
ボランティアとして向かいました。そこで、
がれきの下から4歳の女の子を救出。
テヘランに連れ帰り、やがて養女にする決心をします。
娘、とは、その子のこと。
 養女にすると決めた時、家族は大反対。
勘当され、小学校の教師をしながら、
少女を育てます。1993年、テヘラン大学に
留学していた日本人男性の誘いを信じて、来日。
でも、その男性は結局受け入れてくれませんでした。
 途方にくれた母娘は、昼は残飯をあさり、
夜は公園の土管の中で寝たそうです。そこを
通勤路にしていた女性が、見かねて家に連れ帰り、
世話をやいてくれます。
やがて、母娘は、近くに安いアパートを借り、
そこから片道2時間近くかかる絨毯工場で働くことに。
無我夢中で働き、娘を学校へ通わせ、そして、今、です。
 私は、ずっと、自分が自分で立ててはじめて、
他人様のことができる、しかも、自分には
何の技術もない、だから、できることを
できる範囲でするしかないと思っていました。
でも、そのできる範囲って、本当はもっともっと
広げられるのではないかと思い始めました。

*Music
 オリヴィエ・ベルネ/テヘラン